道の駅 ゆうひパーク三隅から車で約25分。浜田市街に入ると、さすがに車の数も多い。私は、浜田城跡を目指している。浜田城山公園駐車場の情報は仕入れていたが、つい護国神社のほうへ入ってしまい、側道のような坂道を城山の中腹まで上がった所にある神社と城跡の兼用駐車場に停めることになった。
こういうのも縁なので、護国神社に参拝してからお城を目指すことにした。濱田護國神社には、明治以来の国事・事変・戦争で亡くなった23,000柱の英霊が祀られている。この日は慰霊大祭の前夜祭ということで、境内はその準備に余念がない様子だった。
浜田城の本丸へは、本殿の右側から登っていくことができる。
神社のすぐ先に、浜田藩追懐の碑がある。この碑には司馬遼太郎の文が刻まれ、石見のこと、石見の人、浜田の城の成り立ちとその最期を伝えている。
では、浜田城を登ってみよう。登り始めるや否や、きょとんと旧浜田県庁表門が置かれている。明治5(1872)年の浜田地震のあと復興された浜田県庁の表門として作られたもので、もちろんこの場にあったものではないのだが、こうだ、と言うようにたたずんでいると、そうだ、と言いたくなるような納得性もある気がしてくる。
浜田藩6万1000石は、関ヶ原の合戦(慶長5(1600)年)で戦わずして敗北した毛利家が、勝者の徳川家康により周防・長門の二州に閉じ込められたのち、元和5(1619)年に5万4000石で成立した。
江戸期に築かれた城と城下は、徳川が執拗に危険視した毛利氏を牽制する最前線の砦といった位置付けであった。曲折はありながら幕末を向かえることになるが、討幕を掲げた毛利氏により浜田藩は滅びることとなる。
表門のあたりから、「およよ」と思っていたが、その先まで行くと、なかなかにして見事な石垣が、切迫感を持って迫ってくる。
江戸期に築城、それも一国一城令後に築かれた珍しい城でありながら ―つまり近世城郭である―、この質朴で野放図な石垣の積み具合はどうだ。
城郭の規模も、そこまで大きさは感じない。毛利を牽制する牙城でありながら、この城は海城でもある。浜田の地は古くから西国と山陰道を結ぶ交通の要衝であり、江戸時代には北前船の寄港地として大いに栄えた。要するに、戦いを好んでいるわけではないのだ。
現地の案内板に書いてあったが、山麓部分には塀を設置していなかったという。見える部分にだけは置かれており、まさに「見せる」城だったのだ。
ほかにも、現地案内板は各曲輪、各所に置かれ、それぞれ発掘の状況や往時のイメージCGを駆使しており、非常にわかりやすい内容で城を深く知ることができるようになっている。
一つの曲輪を示す丸も、大いに小さい。それから珍しいなと思うのは、二の丸、三ノ丸の呼びではなく、二丸、三丸というところだ。私は、100名城を制覇するなど城好きであるが、こういう呼び名は初めて聞いたかも。
本丸へ至ると、まだ少し桜も残っていた。この城は桜の名所としても名高い。他の曲輪は小規模だったが、本丸は開放感があり広々としていた。
この城には「天守」があったが、江戸期の天守でよくある三重櫓であった。幕府に遠慮して大きな天守は自粛していたためであり、この時代に多々あるパターンである。
本丸の木々のはざまから、北前船の寄港地であった外ノ浦が望めた。とのうら、と読む。外ノ浦はこの後行ってみるのでここでは触れないが、遠望すると奥の方まで見えて、その先も深く入り組んでいることが想像でき、天然の風待ち湊だった様子がわかる。
他にも、浜田の町の西側も遠望することができる。この城山は、そう大きくはない丘陵で標高約67mであるが、それでも十分にこれだけの景観が望める。敵や港に入る船を監視するという意味では、「ちょうどよい」高さなのかもしれない。
下りは、出丸から戻ってみる。木が鬱蒼と茂っているが、どこも石垣が積まれ、古城然とした趣がある。
本丸まで到達すると、つい満足してしまいがちだが、城めぐりは帰りも油断してはならない。行きに見つけられなかったものに、帰りに気付く場合があるのだ。
二丸から三丸へ降りる時の石垣は、段々畑のように3段に積まれていた。登る時は石段沿いに視線が行くもので、これはまさに帰りにこそ見つけられた石積みだった。
このあと、城下に残る裏門跡などの古跡を巡りたいところであったが、先の予定が押しているのでやむなく次を目指すことにした。
2009年に浜田道を通って私たち浦賀人が初めて山陰に出現した時、車で来たら思ったより遠くて浜田城に立ち寄れなかった。今回は念願が叶った。こんなに石垣が良い城だったんだなぁ。今度は電車で来て、城下もゆっくり巡ってみたいと思った。
To be continued... 👇
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🌇🏰浜田城跡 ~メモ~ 🏰 | ||
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私の所要時間 | 34分 | |
住所 | 島根県浜田市殿町 | |
登城時間 | いつでも | |
休館日 | なし | |
入館料 | なし | |
駐車場 | あり。 | |
アクセス | 山陰本線浜田駅から護国神社あたりまで徒歩20分。バスもあり。 | |
ホームページ | 浜田城跡 (続日本100名城) | はまナビ 浜田市観光協会公式サイト | |
👑 浜田城跡の称号 🔱 | ||
続日本100名城 | 170 浜田城 | |
👛かかったお金 💵 | ||
濱田護國神社 | 賽銭 5円 | |
小計 | 25,785円 |