石見空港に降り立ってから約4時間半。ここまで浜田市の名所を巡ってきたが、温泉津へ向かう旅は、そのお隣・江津市までやってきた。
市境には、浜田市側に県立しまね海洋館アクアスがある。最寄り駅は江津市の「波子駅」だ。自分自身が忘れるので特記しておくが、「ごうつ」市の「はし」駅である。
駅の駐車場に車を停めて、車から降りると何だか良い匂いが。波子駅では「石見麦酒 波子駅醸造所」が営業しており、列車待ちのひと時に、石見ビールを呑んで過ごすことができるのだ。
駅内に酒類醸造所があるのは国内初で、2024年にオープンしたとのこと。残念ながら私は車で旅をしているのでお酒を飲むわけにゆかない。私がここを目指したのは、この駅の裏山にある展望台に登るためだ。
話はさかのぼるが、2月に妻が「たまには一人旅してきな」と言ってくれた時、まず思い浮かんだのが、どうしてか、赤瓦の風景だった。赤い瓦と言えば、石州瓦だ。なんとなく、赤い瓦と温泉が良いな、と空想が膨らみ、あっという間に今回の旅の骨格ができた。
それから、石見関連のマップやサイトを徘徊し、この波子駅の裏山の「古城山展望台」の存在を知った。
波子町は、江戸後期から昭和中期まで、石州瓦をはじめとした「石見焼」の窯元が多く営まれ、栄えた町である。今回の旅のテーマにうってつけと言えるだろう。
古城山展望台を目指しながら、少しこの町のことを考えてみる。波子町の名の由来は諸説あるが、その中のひとつに「土師器」、はじきと言われる土器を作る工人集団である「土師氏(はじし)」という士族と関係があるとされている。
土師器は、古墳時代から平安時代にかけて使われた素焼きの土器の総称で、赤褐色や黄褐色の色合いが特徴である。
石州瓦の原料となるこの地の土は、数百万年前から堆積してきた都野津層という堆積層、とりわけ良質な粘土層である。つのづ、と読む。
「はんど」はこの町のそこここにも置かれている水瓶のことで、やはり都野津の粘土層による特産である。
案内に沿って歩くと、やがて道を逸れ、民家のようなところを縫うように進むと、丘の上に秘密基地のような展望台が乗っかっているのが見える。
どこか「ハウルの動く城」の丘に似ている坂道を登ると、「俺たちの旗を掲げよう!」と言いたくなるような、秘密基地のような展望台にたどり着く。
木造の展望台には、石州瓦のプレートが張り付けられ、「古城山展望台 2017年7月」と白地で抜かれている。なんて素敵な秘密基地なんだ!
展望台に登り、波子の街並みを眺める。
西側はド逆行となり写真ではなかなか分かりにくいが、北側の眺望は赤瓦と青い海の色調の違いがとても美しく、そうそう!こういう景色が見たくて石見にきたんだよ。と言いたくなるような風景が広がっていた。
古城山展望台は、地元の有志の人々によって整備されている。山陰海岸に著名な景勝は数あるかもしれないが、人の手で捏ねるように作られたこの秘密基地は、波子という町の成り立ちと、そこに住む人々の文化が練りこまれているようだ。
そんな風に思いながらこの丘から降りる。
とても気持ちの良い、さわやかな気分になれる丘だった。
To be continued... 👇
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🏘 古城山展望台 ~メモ~ 🏘 | ||
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私の所要時間 | 21分 | |
住所 | 島根県江津市波子町 | |
見学時間 | いつでも | |
休場日 | なし | |
入場料 | なし | |
駐車場 | あり・波子駅に数台 | |
アクセス | JR下府駅より徒歩25分 JR浜田駅より江津方面行きバス停「千畳苑口」下車 徒歩15分 |
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