しったかぶり!日本紀行

グループ「灯台・燈台・岬」を作成してみました!!

贈られる言葉 ~嫌われ先生の矜持~

 こんなことを書くのは失礼なんだけど、高校の時の先生で、生徒からとても評判の悪い・・・ええい、みなまで言ってしまえ、嫌われている先生がいたんです。

 

担任になったクラスの半分は退学したとか(真偽不明)、当時流行っていたエロゲーの主人公(?)に似てるから臭作と呼ばれたり、私は特にどんな感情も無かったんだけど、確かに、「教師」として、生徒が「持っていてほしいもの」を持っていなかった、というか、今思えば、どこかの場面で自分で捨ててしまったような、そんな人だった。

 

名前書いてあるから1点やるよ

とか

君らは中学校1年からやり直しだ

とか。

工業高校だったので、生徒(もちろん私も含むよ!)は確かに頭が悪かったけど、バカなりに自尊心というものもあるので、その先生の発言、また発言が、逆鱗に触れるんだろう。

 

(ちなみに本当に数学は中1レベルからスタートして、微分積分に到達する前に高校の3年間は終わった。)

 

ただ、そんな悪い印象しか生徒に残さない先生なのに、私の思い出のその先生は、生徒と雑談している時の、妙に人懐っこい笑顔が印象に刻まれているのはなぜかな。みんなも同じなのか、私だけなのか。それはわからない。

 

そんな臭作先生との会話で、特に印象に残っていることを書いておきたい。

 

 

 

授業の時間。

天気や時間なんかはとっくに覚えていない。

私と、Nくんと、先生で話している。

 

授業はそっちのけなんだけど、私が通っていた高校の授業なんて、大抵は雑談で構成されていた気がする。

 

そう、修学旅行に、行く、行かない。の話だった。

私は残念なくらい単純なので、沖縄修学旅行は楽しみだった。

Nくんだ。

彼は、ニヒルだった。

学校も来たり来なかったり、ギリギリ卒業できたのは奇跡かも知れない。

 

先生

「N、なんだよ、行かないのかよ。皆、誘ってくれてんじゃん」

 

そうそう。行こーぜって、なんとは無しに誘い合ってたのよ。

 

Nくん

「おれ、そういう集まり嫌いなんですよ。先生はどうなんですか?」

 

なかなか突っ込んだ質問だと思う。

先生も、きっと居場所なんてないんでしょ?というニュアンスが含まれている。

私は、2人の話を聴きながら、少しハラハラした。

 

そのあとの、先生の言葉は、ずっと忘れない。

 

先生

「おれだったら行くよ。誘われているうちが、花だから」

 

誘われているうちが、花だから。

 

・・・少し、悲しかった。

先生は、他の先生からも良く思われていない様子を、何度か感じたことがあった。生徒って残酷だから、それとなくそういうことを伺うのが得意なのだ。

 

先生は、自分のことを、辛いほどによく知っていたのだろう。

 

それでも。

 

誘われているうちが、花だから。

 

そう思って、先生たちの集まりに参加しているのだ。

 

結局、Nくんは当日にドタキャンの電話をかけてきた。

彼は、今どうしているかな。

 

あれから20年以上の月日が平気で流れたけれど、あの時の、あの言葉。

 

誘われているうちが、花だから。

 

私の人生でも、そういう場面が、何度もあった。

その度に、誘われているうちが花だよな、と思った。

断っていたら無かった出会いが、たくさんあった。

 

妻と出会ったのも、そう思って出かけて行った場だった。

休職中に心配のLINEをくれた先輩や同僚も、そう思って出かけて行って知り合った人たちだった。

他にも。

 

 

先生。

感謝してますよ。

誘われているうちが、花だから。

あの時の言葉があったから、多分少しだけプラスで人生が豊かです。

 

少しだけですよ。

 

おしまい。