横須賀市、ひいては三浦半島の東端に位置する観音崎。ここに、日本初の洋式灯台が建っていた。東京湾を照らす「観音埼灯台(かんのんさきとうだい)」は、意外と目の当たりにするのに骨が折れる。

浦賀方面から向かうと、観音崎通りという道を進む。観音崎大橋の先に見えてくる三浦半島でも随一の美しい砂浜である「たたら浜」が、ほぼ観音崎に近い。

実際に上陸したり、映画の撮影が行われたわけではないけど、かつてこの浜にゴジラによく似たすべり台があったりしたゆかりで、2025年には「ゴジラの足跡」が設置された。
また、黒船を模したブロンズ製のマイルストーンも設置されている。なかなかカッコいいぞ。

観音崎自然博物館の裏手の、海側の遊歩道・展望園地を歩く。歩かなくても灯台へは行けるが、あえて歩くのが良い。
東京湾を行き交う船を眺めると、「飛鳥Ⅱ」が悠々と世界有数の湾内へ入港してゆくのが観えた。

ほかにも、江戸時代後期に設置された、江戸湾 ―無論今の東京湾だ―防衛の台場の跡が遺っていたり、歩いているだけでも色々な発見があり楽しい。

展望園地からは灯台方面へは行けず、観音崎通りの道路に戻る。観音崎トンネルの手前に灯台方面へ行ける道があるから、通り過ぎないように注意が必要だ。

徒歩なら「海辺の道」へ繋がっているトンネルをくぐるといい。少し先にベビーカーも通れるスロープがあるが、坂道なので割としんどい。

地層がむき出しになっていて、地質学的にも貴重なトンネルだ。この素掘りのトンネルでは、池子層という400~250万年前の地層がむき出しになっている。

海沿いの遊歩道・海辺の道に、ようやっと観音埼灯台の頭がひょっこりお目見えする。焦らす感じは、さながら初代ゴジラの初登場シーンだ。

海辺の道は、方や海を眺めながら、方や断崖の緑を睨みながら歩いてゆく。真っ赤で真ん丸なタンカーが通る。撮り逃したが、日米いずれかわからないが、潜水艦もいた。

初代の観音埼灯台は関東大震災の前年の地震で倒壊した。2代目も、翌年の震災で倒壊してしまい、今丘の上に建っているのは3代目だ。2代目の灯台は海中に現存しているらしいが、その一部の残骸を見ることができる。

ここ道をそのまま行くと、観音崎海岸(横須賀美術館の方面)に出るが、標識に従って登りの道を上ってゆこう。

一方、スロープから登ると、断層を開いた切り通しの先が、観音埼灯台である。

踊り場のような職員用の駐車スペースから、灯台と資料館が見えている。ここまでくれば、もういくらもない。

断層を切り抜いた切り通しを抜ける。この断層も池子層で、逆断層という珍しい現象も見られる。

市政70周年を記念して企画された「横須賀風物百選」にも、もちろん選定されている。

目の前に開ける白亜の灯台と青空。ここまでしばらくの間、緑の中を歩いていたので、この色あいの美しさはひとしおである。
日本最初の洋式灯台である観音埼灯台は、フランス人技師F.L.ヴェルニーにより建設された。明治元年9月に起工し、翌2年1月1日に初点灯にこぎつけている。明治維新は、欧米列強に肩を並べるためのスピード勝負だった。

折しも2025年は関東大震災による倒壊の再建から100周年である。この3代目も、100年の長きにわたり、東京湾の安全を照らし続けている。

東京湾における観音崎の重要度は今も過去も変わらず、世界有数の都市・東京の海上交通の大動脈、要衝である。時の太閤・豊臣秀吉は、徳川家康を江戸に飛ばした時、この繁栄を想像していただろうか。江戸は、18世紀において世界一の人口を誇るメガロポリスだったのだ。

全国に16ヶ所しかない「のぼれる灯台」が、自宅からママチャリで来れる範囲にあるなんて、なんて素晴らしいことだろう。
コルクボードに観音埼灯台についてのプチ情報が掲載されている。マニアックな情報も載っていた。

受付で参観寄付金300円を払って観覧券をもらう。「東京湾にはたくさん船が見れるよ、さっきね、飛鳥Ⅱが通ったの!」と受付のおばちゃんがスマホの画像を見せてくれた。

こちらも先程コンデジで撮った飛鳥Ⅱを見せると「さすがデジカメね。潜水艦も観た?」といった話題でひとしきり盛り上がった。

灯台の敷地内には、観音崎灯台にまつわる様々な展示があるので、資料室と共にしっかり見て回った。資料室は撮影NGなので注意が必要。

ではいざ、灯台内へ!!このらせんの階段をのぼる感触がたまらんのですよね。

おもむろに掲げられる「じいちゃんの教え」。

「のぼれる灯台」に上ると、圧倒されるのがこのレンズ。なんて大きくて美しい色をしているんだろうと、いつも思う。観音崎灯台のレンズは、光達距離19.0海里(約35㎞)、光度77,000カンデラである。

ところで、私はカンデラというものを良く知らない。Wikipediaによると
カンデラ(羅: candela, 記号: cd)は、国際単位系 (SI) における光度の単位であり、SI基本単位の一つである。カンデラは ルクス×距離2 で求めることが出来る。

とのことだが、全然わからない。かんたんに、と少し調べてみると、どうやら一方向を照らす「光の強さ」のことらしい。要は、この灯台の光がどのくらい強い光なのかが、これでわかるのだ。と思う。

灯台からの眺めは、これはもう「素晴らしい」の一言で十分かもしれない。あとはぜひのぼってみて欲しい。さすれば、この灯台の在処が、いかに東京湾にとって重要だったかが、専門家ならずともわかる。ような気になれるだろう。

東京湾要塞の人口島も一望だ。写真は第二海堡跡。けっこう遠いのだけど、デジカメがけっこう優秀で、目で観るよりも撮った画面の方がしっかり見えている。こういう所は、さすがにスマホよりもデジカメに軍配が上がる。

湾内の構造物はいかにも人工物なだけあって、姿かたち、これは無類に眺めがいがある。アクアラインなんて、ほとんど神話の世界の建造物だ。ワンピースにもこんなのがあったな。

富津岬の巨大ジャングルジムには登ったことがあるが、遠くから見ても、いや、遠くから見れば、より一層に巨大ジャングルジムだった。

ほとんど海に視線が行くが、少し視点を変えてみると、観音崎の自然の豊かさを知ることができる。ヒュー!と飛んでいくのはトンビだろうか。

旧東京湾海上交通センターは、2018年に横浜へ移転統合された。景色良さそうだから展望台にしてくれたらいいなぁ。

過去、何度か来ているので、少し遡ってみよう。
2018年には、長男かけが生まれて半年くらいの時。私も6年分ほど若い(この数年でそうとう老けた気が・・・)

2009年には大晦日に遊びに来ている。もちろん、灯台は閉まっていたが、夕方の時間帯に、海と雲の荒々しいコントラストに感動したのを覚えている。

観音崎は、自然も豊かだし、ほとんど知られていない東京湾要塞の遺構もたくさん見ることができる。観音埼灯台は3代目とはいえ100年の歴史を誇り、何より美しい。

アクセスは少し大変だけど、来れば味わえる。
最高の岬感!
🔦 観音埼灯台 🌊 メモ📋
🏠住所 横須賀市鴨居4丁目1187
🚃アクセス : 電車:京急浦賀駅からバス「観音崎行」or
JR横須賀駅からバス「観音崎行」終点下車、徒歩約10分
車 :横浜横須賀道路馬堀海岸ICから3km(約5分)
💰観覧料金 : 参観寄付金大人300円、保護者同伴の小学生以下無料
⏰営業時間 : 3月~9月:土日等 8:30~17:00
平日 9:00~16:30
10月~2月:土日等 8:30~16:00
平日 9:00~16:00
※入場は営業終了20分前まで。
💤定休日 : 不定休(荒天、工事など)
🚙駐車場 : 公園周辺に県営駐車場4カ所(全279台)有り
参考 ⇒ 観音崎公園|アクセス
📖公式サイト : 観音埼灯台(かんのんさき) | 「灯台のことなら」 公益社団法人 燈光会