鹽竈神社の東参道を降ると、宮町である。
かつての賑わいは、この鹽竈海道ひとつとってもしのぶことができる。道がとても広いのだ。
塩釜駅、塩釜港の方面へ歩き始めてすぐ目につく大きな石造りの蔵は、鹽竈神社門前・本町通りを歩いた時にも見た佐浦酒造の享保蔵（前の記事へ）と背中合わせのように建っている同酒蔵の大正期に建てられた大正蔵である。
その先にあるひときわ大きな建物は、旧JR本塩釜駅跡地に建つ「壱番館」だ。
平成2（1990）年に地域再開発、市街地活性化の起爆剤として官民共同で建設された複合ビルで、1、2階には商業施設や銀行が入っていたが、景気の低迷や後継者不足により2025年5月に全て閉店してしまった。現在は5階の塩竃市民交流センター「遊ホール」や図書館、歴史博物館、しおがま子育て支援センターなど市の施設のみが入居している。
私はてっきり歴史的建造物かと思ったが、平成初期のものと知り驚いた。バブル経済の遺産という意味では皮肉抜きで一級品の史跡ともいえるが、塩竈市観光のランドマークとして、うまく活用する道は無いだろうか。
向かいには、銘菓・志ほがまを販売する丹六園がある。塩釜の町屋建築の特徴を残すこの建物は、大正13（1914）年に建てられ、100年後の平成26（2014）年に国の登録有形文化財に指定された。
志ほがま（志ほかま）は、伊達藩主の綱村が食べたという記録もある由緒あるお菓子で、元々廻船問屋を営んでいた丹六園であるが、時代の移り変わりに商売は苦戦を強いられていて、戦前はお茶を扱うようになっていたという。
昭和25（1950）年に伊達藩の御用菓子を作っていた先祖の味を復活させるべく「志ほがま」を製造するようになったという。大崎産のもち米と塩竃ならではの藻塩、天然栽培の青紫蘇を使用し、天然記念物で鹽竈神社の社紋となっている鹽竈桜が型押しで打ち出されている（食べてみたかったなぁ）。
その先へ進むと、旅先でよく会うおじさん・松尾芭蕉ゆかりの地・芭蕉船出の地の碑が置かれている。現在はこの近辺は埋め立てられているが、かつてはこの碑のあたりが海岸線であり、芭蕉の乗った船は松島へ向けて出発した。名所刊行するための出発地というだけで碑が建つ松尾芭蕉の恐ろしさよ。
このあたりは、希望の広場としてちょっとしたスペースが設けられている。江戸末期に創業した太田屋は、醤油味噌屋であるが、それ以前は旅籠屋を営んでいたという。宿泊客に分け与えていた味噌や醤油が評判となり、やがて商売として成り立った、というようなことだろうか。
鹽竈神社の標柱は、大正13（1924）年に国幣中社列格50周年を記念して駅前の大燈籠とともに建てられたものだが、元々は旧大河岸橋という場所にあったものを「道そのものが博物館」という考えの下、一度は撤去されたが、再度設置されたものだ。
気が付いたら本塩釜駅に戻ってきていた。東参道から駅までは約500m徒歩7分。思ったよりも近かったのだ。
「あの日をわすれない」震災津波のモニュメントと、巡視船「おじか」の錨 。この町が海街であることは永世変わらないだろう。海は時に襲ってくるが、人々を生かしてもいる。
まだまだ朝早い時間。6:23。土曜日の朝だ。閑静。
郵便ポストの上には、塩竈市制50周年を記念して設置されたマグロのモニュメントが。氷見にはハットリくんが、高知には坂本龍馬が。塩釜にはマグロが。全国おもしろポストめぐりなんか面白いかも！！
アクアゲート口には「麻呂」。
宮城県在住の版画家で、塩竃市に縁のある岩渕欣治氏による。
モチーフになっている魚は人間を表し、塩竃をアピールし、地域振興にかける人々の熱意・行動力を表現している！とのこと。愛嬌があってかわいい。
約1時間半。
たっぷり朝から歩いた。さぁ、最終日。がんばんべぇ。
その前に、ホテルの朝ごはん♪
お腹ペコペコだよぉ。
つづく👇
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