陸奥国一宮・鹽竈神社に参拝し、西向きに主祭神・塩土老翁神を祀る別宮の謎に(勝手に)肉薄した。その模様は前章を読まれたし。
鹽竈神社の社域には、もう一つ、大きなお社が鎮座している。
志波彦神社という。
もともと、宮城郡岩切村(仙台市岩切)の冠川の畔に鎮座していた。

しかし境内は狭く満足な祭典をできないことから、明治天皇の思召しによって明治7(1874)年に鹽竈神社の別宮に遷祀された。さらに昭和13(1938)年、国費によってここに遷座された。社格は、みそっかすみたいな扱いの鹽竈神社とは違い、延喜式内明神大社で、朝廷からの信仰も格別に篤かった。

祭神の志波彦大神は謎多き神で、日本書紀・古事記にもその名が出てこず、伝承神話の類が伝わっていない。一説に、「志波」は「シワ」に通じ、物の「端」のことを指しているという。

つまり、大和朝廷が日本列島を平定していく過程での、その時点の北限を「シワ」であるとし(東北には岩手県紫波郡紫波町など、シワの地名が点在している)、陸奥平定の重要基地であったこの地(多賀城を中心とした)に祀られたのではないか。ということである。後付けのこじつけかもしれないが、当社のご利益の第一に国土開発があることは、その傍証になるのではなかろうか。

他にも農耕や殖産への信仰も伝わっており、HPでは「農耕を生業としていた人々の守護神だったのでしょう。」と考察されている。
昭和天皇御製碑の傍らから塩釜港を遠望し、出港してゆく船を眺めている。明治天皇は、ひょっとしたら陸奥・北海道のさらに北に控えるロシアを意識していたのではないか、と思ったりもした。

境内をうろうろしていると、稲井石の大きな石板が置かれていた。石巻市雄勝地区で産出する黒色粘板岩である稲井石は、この境内の東参道、裏参道に古くから使用されている。昭和57(1982)年に奉納されたこの石は、川の橋板に使われていたが、長さ7m、幅1.5m、厚さ20㎝の巨石は珍しいとして、ここに置き後世に残すことにしたという。

参拝を終え、帰り道であるが、鹽竈神社の東側の鳥居をくぐり、東参道を降ることにした。この石は、稲井石だろうか。

東参道石鳥居を過ぎたところでふり返り、東神門の方面を眺める。私には鳥居ごとに拝礼をする敬虔さは無いが、この多くの謎と歴史を抱え持つ神社には、大げさではなく日本史の謎に迫るような秘密が隠され、忘れ去られてなお、人々を惹きつけてやまない魅力があるのだと、しみじみ感じるのであった。

参道を東へ進むと「七曲坂」があり、古式を思わせる雰囲気がある。それも当然のことで、この参道は表参道や東参道が整備されるずっと以前のもので、多賀城を国府とした奈良時代からのものと推測されている。ここを降りると、県道3号、表参道の少し東に出る。

東参道は緩やかな降りとなっている。またふり返り、石鳥居を遠望する。別名を裏坂といい、参道沿いには鹽竈神社博物館があるが、朝の散歩であるこの時間帯はもちろん開館前である。

参道入口近くには、かつて鹽竈神社の別当寺であり壮大な伽藍を擁していた「法蓮寺」があったが、明治の廃仏毀釈により廃寺になり、今は東端にあり伊達藩主が参拝の際に身を清め衣服を整えた「勝画楼」だけが遺されているが、それも今は敷地内の安全確保ができないとして、見学は叶わなかった。

ん?あれ?ど、
ドラえもん????

旅でよく逢うおじさん・松尾芭蕉は、元禄2年5月8日(1689年6月24日)に塩竈に到着し、この付近に宿をとった(同行した曽良の日記に「宿治兵衛、法蓮寺門前」とある)したという。

鹽竈神社は、全体的に燈籠の種類が多く立派だったように思う。そういう目で観ながら参拝をしなかったが、あとから写真を観ると歴史のあるものもあるし、意匠が立派だったり、色合いがカッコよいものが多かったとおもう。

シオツチオジは道案内の神でもあった。燈籠は、道の暗さを慰める安寧の灯であるから、そういう想いがこの燈籠に投影されているのだろうか。
そんなことを思いながら、東参道の石の道を、少し膝をいたわりながら降り切ったのであった。
つづく👇
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旅のメモ📝
| ⛩ 志波彦神社 ⛩ | ||||||||||
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| 住所 | 宮城県塩竈市一森山1-1 | |||||||||
| 参拝時間 | 4~7・9~10月 5:00~17:00 8月 5:00~16:30 11月 5:30~16:30 12・2月 6:00~16:00 1月 6:00~17:00 3月 5:30~17:00 境内の参拝は自由。 |
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| 駐車場 | 境内の東側から北側にかけて参拝者専用の無料駐車場が 4か所(第1・第2・第3・バス)あり。300台 お祓いの車は坂上の社務所近辺まで参入可 |
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| アクセス | 🚃:JR仙石線 本塩釜駅より表参道まで徒歩約15分 東参道まで徒歩約7分 社務所前まで徒歩約15分、タクシーで5分 🚙:三陸自動車道 利府中ICより車で約10分 利府塩釜ICより車で約10分 仙台港北ICより車で約15分 |
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| ホームページ | 志波彦神社・鹽竈神社 公式サイト | |||||||||
| 👛かかったお金 💵 | ||||||||||
| 賽銭 | 5円 | |||||||||
| 小計 | 44,263円 | |||||||||