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ADHDとその周りの人におすすめ!「多動脳―ADHDの真実―」【読書感想文】

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 今回紹介する本は

「多動脳―ADHDの真実―」

 

 

ADHD。今では発達「障害」とされてしまうその「能力」は、かつて人類が生き残るために必要なものであった。著者が繰り返し言うのは、ADHDとは〈強み〉になる、なった、これからもなる、ということだ。


内容は、まずADHDって何?っていう所から始まり、気が散る、集中できない、つい忘れる、後回しにしてしまう。落ち着いていられない。これらの特徴を脳の構造から紐解いたり(決して劣っているわけではない)、人類の進化の過程で、ADHDの特徴はいかに「人類を生かしたか」ということを、科学的に分析している。


人には皆、ADHDの傾向がある。それはまさにスペクトラム ―連続していて境界線が無い状態― で、誰もがグラデーションのどこかにいるのだ。しかし、色調の濃い人が困るのは理の当然のことで、心に病むほどに困り、自身のADHDと出会うことになる。


私もそうで、つい最近の2025年4月以降、適応障害で会社を休んでいる。仕事がうまくゆかず、いわゆるADHDの不注意の部分で躓いてしまい、しばらく休養が必要と診断されている。ADHDについては、診断はまだであるが。


全然意識して生きていなかったけど、言われてみると、だ。そういう風に幼少期からの自分のストーリーを読み返していくと、常に薄く、しかしそれは確かな手触りで存在していた。ただ、環境に恵まれ、気が付かなかったし、問題にもならなかった。


ADHDの特性によく現出する「過剰適応(周囲に合わせるために知らず知らず無理を重ねている状態)」も手伝っていたんだと思う。それでも、職場が変わり仕事が変わり、環境が変わったことによって、私の場合は40歳を超えてから、思いっきりスッ転ぶことになったのだ。

 

 

この「多動脳―ADHDの真実―」では、ADHDは強みになると繰り返し述べられている。自分の(またはお子さんであれば子どもの)特性を見極め、活かせる方向を見つけていく必要があると説く。クリエイティビティに富み、いざとなった時には「ハイパーフォーカス」で途轍もない集中力を発揮して成果を出す。凄い可能性があるのだ!


世の中にADHD、またはその傾向が強い人で、大きな仕事を為している人もいることを紹介し、決して悲観することはないこと、希望を持って生きていいんだという事。この本には科学的な面と、そういった困りごとを抱えた人への「応援歌」の側面があると思う。


決して甘い道のりではく、作者本人もADHD傾向があるということで、努力は(誰にだって必要だけど)欠かせないという。また、良いところ、強みばかり強調せず、やはり大きなデメリットがあり、注意が必要であると語る。

 

脳内の構造による「依存性」が起こす弊害については、ぜひ興味を持って読んでほしい。ドラッグや、バクチへの依存で身の破滅を呼んでしまうとき、強みはあっという間に弱みになる。


また、ADHDの傾向の中には薬が有効な場合も確かにあるが、何より効果が得られるのはスポーツ(短時間で十分)であるとし、薬社会への警鐘も鳴らしている。


人類がサバンナで生きていた頃は絶対的な強みとなったADHDは、現代社会ではおいてけぼりになりやすい。しかし、自分の特性と向き合って理解したとき、そこには疲れ知らずで権威におもねらず、へこたれないパワーが付与され、底知れないエネルギーで課題に向き合うことができる。


「多動脳―ADHDの真実―」は、すべて文章なので、苦手な人はけっこうしんどいかもしれない。図解や絵解きで読みやすい本もたくさん出ているので、自身の得手不得手で選んだ方が良いと思う。


この本は、ADHDの(または傾向のある)人への応援歌だと思う。文章も簡潔だし、身近に傾向のある人とがいる場合に読んでも良い。ADHDであることが〈強み〉であること。そして、自分のままで、そのままで良いんだと思わせてくれる本だ。

 

興味のある方、困っている方は、ぜひ読んでみてほしい。

 

 

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